B.M.F.Diary

Think and Feel. Future is mine.

■2002-08-14(水) [長年日記]

 世間様はお盆休みに入ったようだが、こちとら今週いっぱいは仕事でぃ。にしても暑さは相変わらず。昼過ぎから半日、外で取材をしているあいだに、500mlのペットボトルを4本飲み干す。しかし、その労力に見合う成果はなし。こういう日はとっとと帰るべく、10時に事務所を出る。

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『ICカード革命』石川勝一郎/和泉章/三田啓/渡邊昇治

ICカード革命(石川 勝一郎/三田 啓/和泉 章/渡辺 昇治) ICカード革命(石川 勝一郎/三田 啓/和泉 章/渡辺 昇治)

著者たちは全員が経済産業省におけるICカード関連の実務担当者。とりあえず、行政側のICカードに関する方針を再確認する意味で読んでみた。

気がついたことは2点。まず1点目は、経済産業省のICカードにおける狙い。個人でのICカードのメリットは、各種カードが1枚のカードの乗り入れることで持ち歩くカード枚数を減らすことや、免許など各種の身分証明書に替わるものということを、大きくアピールしている。が、もっと突き詰めて考えると、これは公開鍵暗号を内部で処理できるハードウェアを個人が常に持ち歩くようになる、ということなのだ。

今後の社会生活を送る際の個人の身分証明に、もっとシステムレベルで堅いものを導入しようとする流れは、レッシグのCODEを持ち出すまでもなく当たり前のものになりつつあるが、そのソリューションとして公開鍵暗号を処理可能なハードをカードとして携帯する、というのが経済産業省の提示した答えだ。

2点目は、これはICカードに限らないのだけど、経済産業省の人間をはじめとする頭の良い人間が考えている未来の社会像について。第8章でこんなことを書いている。少々長いが引用しておく。

「どこの会社」、「どこの学校」といった「ブランド」が意味を持たない時代になれば、会社や学校が私たちの身分を認め、その証明書を発行するという方法ではなく、所属する会社や学校を私達が選択し、私達が生まれたときに与えられたIDカードの中の「所属」欄のデータを書き換えるという方法があり得るのです。運よくICカードはそういうことを得意としています。主役は会社や学校ではなく、私達なのです。会社や学校などの組織が私達を管理しているのではなく、私達が組織の一員になっているのです。会社や学校から与えられるカードは、終身雇用や学閥などにもつながる妙な帰属意識を煽っていると思うのは考えすぎでしょうか。(P172)

また、

私達は自分の存在が絶対であることを認識し、所属する組織は一時的なものであることを認識すべきなのかもしれません。「流動性の時代」にICカードが登場したことの因果を感じざるに入られません。(P173)

という記述もある。 縦割りの最たる行政の人間がいっても説得力がない、というのは置いといて、いかにも頭の良い連中が考えそうなことだ。唯一、個々人を絶対のものとして、社会的なものを後天的な「属性」として書き換え可能なものと見なす。これは「原子論的な個人」ではないか。

「帰属意識」と「身分証明」は現在の日本では表裏一体だ。だが、組織やコミュニティーを単純に属性と言い切ってしまって良いものなのだろうか。ここでは「会社」と「学校」しか出てこないが、社会的な「属性」はそれだけでない。「家族」だってそうだ。個人個人はそれ自体で単独の存在としてあり、家族関係ですら属性にしか過ぎないと見なす。横の繋がりも、縦の繋がりもぶつ切りにして、バラバラの個人にしてしまおうというのだ。まるで、夫婦別姓の論議のようだ。これは宮崎哲弥が聞いたら怒り狂うのではないか?

では、その「ICカード」と「個人」を結びつけるものはなんだろうか。指紋、声紋、光彩などバイオメトリクスに利用できる要素は各種あるが、「生まれたときから」という条件が付くとどれも難しい。ではどうするか? 究極的にいってしまえば、生誕時から変化しない個人を特定する物理的に唯一のものは遺伝子しかない。つまり、行政の進めるICカード社会は必然的に遺伝情報を必要とすることになるのだ。

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読んだマンガ

  • 小畑健/ほったゆみ『ヒカルの碁(18)』(集英社)
     この巻はすべて第1部終了後に描かれた番外編を収録。何はともあれ、アスミちゃんが良いねぇ。
  • 藤田和日郎『からくりサーカス(24)』(小学館)
     「しろがね」たちのもう一つの大きな謎が明らかになる。だが、まだ謎は尽きず、物語は続いていく。
  • 内藤泰弘『トライガンマキシマム(7)』(少年画報社)
     きっかけは小さなこと。でも、人の中でそれが増幅され、悲劇を生み出す。
  • 吉住渉『ウルトラマニアック(1)』(集英社)
     このお話も基本的に特殊シチュエーション・ラブコメ。
  • ハロルド昨石『BECK(12)』(講談社)
     この巻は雌伏の時。次巻に控える大きなカタルシスを待て。
  • 西川魯介『ラブ装填☆電動ファイター』(ワニマガジン社)
     Robo-oneを見た後にこれを読んだものだから、ヘンなところでリアルに感じてしまったり(笑)。
  • いましろたかし『釣れんボーイ』(エンターブレイン)
     他人のダメ人間っぷりを見ても、我がふりは治らないということを実感したね(笑)。800ページの大作だけど、一気に読了。
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