B.M.F.Diary

Think and Feel. Future is mine.

■2005-03-24(木) [長年日記]

「モバイルSuica」メディア向け体験会

■モバイルSuicaの現状

3月1日からJR東日本の関係者とキャリア(ドコモ)、Felica関係者(ソニー)など合計200名程度に試験端末を配布して、フィールドテストを開始。期間は秋頃までを予定。

テストでは、あらかじめ2万円分のチャージをした端末(P901iCなどのお財布ケータイ対応端末にモバイルSuicaアプリケーションをインストールしたもの)をテスターに配布して、JR東日本管轄内の駅やショップで実際に利用してもらい、カード形状からケータイ端末にしたことで、利用する上でどんな変化があるかをテストする。

■端末の現状

テストで私用している端末は、P901iCなどのお財布ケータイ対応端末にモバイルSuicaアプリケーションをインストールしたもの。

ハードウェアは市販されているものとまったく同じで、アプリケーションはダウンロードしてインストールした。

従って、モバイルSuicaがサービスインした場合、現在のお財布ケータイユーザーもモバイルSuicaを利用することは技術的に可能だが、JR東日本(とドコモ)としては次の世代のお財布ケータイからにしたいと思っている。

理由は、改札でのタッチ(通信)する際、現行のお財布ケータイではFelicaチップが埋め込まれた面を、改札の受送信部に向けないと認識率が落ちるから。

JRが要求するカードの認識からデータの送受信が完了する通信時間は0.1秒で、これより長くなると、ユーザーが改札をスムーズに通過できなくなって、改札口が混雑するため。

JR東日本としては、ユーザーがケータイをどんなふうに持っていても、カード並みの認識時間を維持できるようにドコモとソニーに要請している。

あとドコモ側の問題として、セキュリティーが求められるアプリケーションを、端末にダウンロードして使用するところに、なにか不安があるらしいようなニュアンスがあった(あくまでも私見)。

現状では端末状のメニュー操作からネットワーク経由でSuicaにチャージ(お財布ケータイで言う“エアチャージ”)が、システム開発中で未対応。アプリのメニューにはあるが、撮影用ダミー。

駅などにあるSuicaにチャージ可能な端末はすべてカード専用(スロットタイプ)なので、ケータイにチャージする場合は、実験用の専用チャージ端末が必要。

サービスインした場合、エアチャージだけにするのか、ケータイでもチャージできる端末を用意するのかは、検討中。

クレジットカードによるプリペイド(VIEW Suicaと同じ)だけか、チャージ分を後からキャリアに請求を代行してもらうポストペイにも対応するのかは、聞き忘れた。

定期部分もメニューにはあるが、現状ではダミー。従って、フィールドテストではあくまでもSuicaイオの部分だけが利用可能。

現在利用できない部分のテストに関しては「順次やっていく」とのことで、具体的スケジュールについてはノーコメント。

■実際に使ってみて

使い勝手は、通常のSuicaと変わらない。上野駅は駅内の店舗の99%がSuicaで利用できるため、駅内ではほぼキャッシュレスが実現している。

ここまで徹底しているのは現状では上野駅だけだが、モバイルSuicaとは関係なしにJRの駅すべての店舗で、Suicaへの対応は進めていく方針。

Suica対応のコインロッカーは、Suicaで支払えるだけでなく、鍵代わりとしても使える、キーレスタイプ。現金でも利用できるが、その場合は解錠に発行されるレシートが必要になる。これだけは上野駅のみ。

プレスに配られた端末には、1500円分のチャージがされていて、これはフツーにSuicaとして利用できた。コーヒーショップでサンドイッチコーヒー飲んで、コンビニでお茶を購入。昼飯代が浮いた。

■プリペイドカードとして

貨幣として店舗などで利用可能なプリペイドカードは、「前払式証票規制法」(通称:プリカ法)という規制を受ける。これによってプリカを運営する事業者は、発行済みで未使用なプリカの総額に相当する現金の留保や、そのサービスのトレードマークをカードと使用可能な店舗の両方に明示することなどが義務づけられている。

Suicaの場合は、楕円形に線路で書いた円とSuicaのロゴを組み合わせたマークがそれ。

Suicaのサービス開始初期(2001年)に発行したカードには、このマークが入っていなかったため、Suicaのチャージを汎用的な電子マネーとして利用できなかった。これを2003年のキオスクなどでの利用実験を解するのに前後して、ロゴ入りのカードに変更した経緯がある。

お財布ケータイの場合、アプリケーションとして後からインストールが可能なため、すべての端末にマークを入れることは不可能。このため行政(金融庁か財務局のどっちか)と相談した結果、チャージや残高を確認するためのアプリケーションのメニュー画面にマークを表示することで良いという見解になったとか。

■その他

Suicaの担当部署が「鉄道事業本部Suicaシステム推進プロジェクト」(2003年当時)から「鉄道事業本部Suica部」になった(発足は2004年6〜8月の間?)。

本来Suicaは切符なのだから、設備部や営業部の中にあるのが自然だが、そうではなく1つの独立した部門としたということは、単純な「切符」としてだけではなく、もっと大きな事業になっており、さらに大きくなる・するという経営判断があったのかも。

ユーザー数に関しては、発行枚数が既に1000万枚を越えているため、モバイルSuicaによるさらなる増加はあまり見込んでいない。

どちらかというと、SuicaからモバイルSuicaへの乗り換えが多いだろうとのこと。そして、いろんなお店をSuicaで利用して、エアチャージでどんどんチャージして、JR東日本に現金を一杯落として欲しいという感じ。












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