B.M.F.Diary

Think and Feel. Future is mine.

■2007-01-03(水) [長年日記]

ダーウィンの悪夢

さて「ダーウィンの悪夢」。

いまさら知らぬ人も少ないでしょう。知らない人は、知ってください。知った人は、見に行ってください。見に行った人は、考えてください。そのさきはまかせます。たぶん考えても、すぐにはどうしようもないですから。

映画は淡々と進んでいきます。絵的にショッキングなシーンはほとんどない。ただただ、貧困と、それによる病と、そして不幸が写されている。数分ごとに流れる輸送機の爆音が、不快感を強調する。紛れもなくスクリーンに広がるのは地獄です。

どうしたらいいんだろう。

たとえば、ナイルパーチをボイコットする。だけどそれはタンザニアの数少ない産業の一つを壊すことになる。ヴィクトリア湖の周りには地獄がある。だが、そこを中心にした産業がすで出来ている。魚を捕って売ることで生計を立てる人。清潔な工場での労働。ナイルパーチはこれらの人を支えている。ナイルパーチをボイコットすれば、地獄はもっと大きくなるだけ。

背後に問題を抱えている商品をボイコットするのは簡単だ。だが時にそれは、単なる逃避となる。原罪からの逃避。そして逃避は甘美だ。

「紛争ダイヤ」という言葉がある。アメリカでは今、目立つ宝石を身につけていると、紛争ダイヤかどうか聞かれるという。そして「綺麗なダイヤ」を身につけることを誇る。紛争ダイヤであれ、そうでないものであれ「ダイヤを身につける」という行為そのものが、根本にあることを忘れたまま、甘美な逃避をむさぼる。

考えてください。

もうすでに、止めることは出来ません。止めても無駄でしょう。また新しく動き出すだけです。そのとき、地獄の方にいるのか、そうでないのかは、運次第です。でも、実際には止めることはムリでしょうけど。

でも、知ってください。見続けてください。そして考えてください。もう、それしか方法はないんです。

ここから一人で降りることは簡単です。実際にそうしている人たちもいます。でも、全員で降りることはできません。もうムリなんです。それをするには遅すぎました。そして問題が解決可能なうちに、気がつくことなんて滅多にないんです。

だから、考え続けてください。

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