■2002-11-01(金) [長年日記]
▼ 日記
ダラダラしながら事務所に直行。ダラダラしながら電話連絡が数件。ダラダラしながら取材。
▼ 来て欲しい電話がかかってなくて、別にどうでもいい電話ばっかりかかってくる。ていうか月曜日休みなのは、やっぱり痛いなぁ。ハッピーマンデー法って社会的にはデメリットの方が大きいと思うぞ。
▼ 眠くて眠くて仕方がない。いっそのことナルコレプシーだと言い張ろうかな。
▼ しかし、早期退職者募集が締め切り前に定員に達するとはね。まあ、気持ちは分かるけど。
▼ 毎日 「電子政府の認証基盤に重大欠陥」 情報処理学会で論文発表
欠陥というよりも、結局のところ何処を一番に信用するかという問題。くだんの論文はココにある。
▼ 日経IT Pro シャープ,プラスチック板を用いた26万色表示の反射型TFT液晶パネルを開発
▼ 日経エレ 無線LANの特許係争でIntersil社がAgere Systems社に反訴
上り調子の業界ではよくある訴訟合戦。
▼ BizTech Wi-Fi Allianceが無線LAN向けセキュリティの新方式を発表
▼ Hotwired 無線LANセキュリティーの新方式『WPA』発表
▼ Hotwired 賢すぎて怖い? プラダのハイテクタグ
RFID Jounalの記事によれば、IDタグ自体はTI製で、システム構築はKTPというイギリスの会社だとか。
▼ 日本経済新聞 先行のポケットカードが戦略転換、ICカード発行中止
実際は大した問題ではなさそう。JCB以外の国際カードは、当分、様子見を決め込んでいるんだし。それより磁気ストライプカードとICカードの発行費用の差額は、そのうちもっと大きな足かせになるかも。
▼ パソコンのレビュー記事の大半が、通り一遍の機能の説明に、自分のウンチクを加えただけのモノなのは、その通りだと思う。特にこの手の連載記事はそういった傾向が強いけど、そのパソコンが使えるかどうかは個々人の使用形態によるので、その判断の一助になるような他の機種との差違や、カタログの仕様欄には書いていないような細かいことが中心になるは致し方ないと思う。
満員電車に関しては、ラッシュ時には電車に乗らない人が大半だから、あんまり頭にないじゃないかなぁ。まあ、「壊しても良い」ことを前提で貸してくれるメーカーはないし、それだけのために1台買うこともできないというのが実情だけど。でも、最近は満員電車で壊れた話自体を、あんまり聞かない。これはノートパソコン対応を謳うカバンが増えたのも大きいと思うけど。
あと「モバイルで使える」というフレーズは、一般的には軽くてバッテリーの持ちが良い、という程度の意味。記事ではネットワーク関連の機能の有無を含めているけど、100Base-TXのLANコネクタは今時なら付いていない方を探すのが難しいし、ワイヤレスLANはそれこそまだこれからのもので、モバイルマシンの条件に必要かどうかは微妙。なので、この場合はメーカーの売り文句に過ぎない。ホットスポット自体がまだ少ないし。
実際のところ、モバイルマシンとして使えるかどうかは、バッテリーの持ちと、大きさ・重さのトレードオフで決まるものなので、個人によってわりと差があると思う。僕の場合は常にThinkPad X22を持ち歩くけど、ほかの編集者ではA4フルサイズを持ち歩く人もいれば、ThinkPad S30が限界だという人もいる。言い換えれば、最近のバッテリーの持ちが向上しているノートパソコンなら、使おうと思えばどれでもモバイルとして使うことができてしまうということ。じゃあ、何が違うかといったら、長期間使ったときの各部の壊れにくさだと僕は思う。
■2002-11-02(土) [長年日記]
▼ 日記
午前10時過ぎに暫定版が上がる。ちょっとだけの仮眠のつもりが、寝過ぎて午後2時起き。あわてて取材に出る。
今週も大きなネタはなし。でも東芝の9.5mm厚/5400rpmの60GBは欲しいなぁ。本気で買っていこうかと10分くらい悩んでしまった。でも今すぐに買っても、ThinkPad X22のHDDを入れ替えている暇はとてもないんだよなぁ。おそらく作業できるの12月に入ってからだろうし、だったらそれまで待った方が安くなっているに決まっている。と、自分を言い聞かせて、なんとか物欲を押さえ込む。
午後8時過ぎに取材終了。晩飯はコンビニのサラダとサンドイッチと温泉たまご。
■2002-11-04(月) [長年日記]
▼ 日記
原稿は午前1時過ぎに完成。とっくに終電はいってしまったので、朝まで一人で別の仕事。テープを聴きながら適当にメモを作って行く。
▼ 途中で夜食に松屋の牛飯。作業に飽きたらWebをブラブラ。連休の中日だけあって、Web上はどこも閑散。bk1で11月下旬発刊のマンガを予約したり、DVDを予約したり。
▼ 気が付くと午前10時。さすがに風呂が恋しくなって、事務所を出る。まっすぐ家に帰るつもりが、気が付いたら表参道と明治通りの交差点近くに立っていたので、ついでにスニーカーを買っていく。
▼ 池袋でリブロとジュンク堂を覗いて、麺家でラーメンを食べて、帰宅。ようやく寝られる。
▼ 日経IT Pro CRMは顧客情報を活用することではない
▼ 日本でベルカーヴ論争が起きない理由は、日本人はたぶん裏付けのある差別心てのを持ち合わせていないからじゃないのかな。基本的に「差別は悪いこと」だという認識は持っているから、自覚的な差別はしない。あるのは所属する共同体の差違からくる対立や反発。あと、内省的な国民性もあるだろう。内省的ということは、矛盾するようだが社会環境論とイコールだと思う。先天的なもの、つまり遺伝による気質から生じるものに対しては内省という感情は生じない。これは、ADHDの人が診断を下されることで苦痛から解放されることが多いというのがよい例だと思う。
▼ どんなシステムを導入したところで、それらによってすべてのノウハウが情報化できるとは限らない。例えば、情報化されたものを、上手く使うスキルだって必要だ。システムがあってもそれを使うことのモチベーションは、ユーザーの側にしかあり得ないのだから。ただ雇用者の側からすれば、情報化されないデータが見えにくくなってしまい、そういったスキルを軽視しがちになる可能性もある。それを軽視して簡単に首を切る雇用者がいるならば、競合店が現われた途端に淘汰されるのも目に見えている。
▼ 学研 「大人の科学シリーズ」第8弾「からくり茶運び人形」
個人的にツボをピンポイント。
■2002-11-05(火) [長年日記]
▼ 日記
えらく早起き。というか昨日は変な時間に寝てしまったせいで、午前2時半に目が覚めてしまい、その後も寝るに寝られない。
▼ しょうがないので、久しぶりにラッシュの時間に会社へ。電話して、メールして、原稿書いて。気が付くと午後9時。ホントなら公休日なので、早めに帰宅。家でも延々と原稿書き。
▼ 朝日新聞 「スイカ」の運賃取りすぎ、ケーブルの傷みが原因
▼ R.E.タンジ/A.B.パーソン『痴呆の謎を解く アルツハイマー病遺伝子の発見』(文一総合出版)
▼ ようやく読了。『天才と分裂病の進化論』もそうだが、脳の話しはとても面白いのと同時に、病気の当事者を思うと心が重くなる。
■2002-11-06(水) [長年日記]
▼ 日記
3時就寝、6時起床。午前中は部屋にこもって原稿書き。途中、bk1と紀伊国屋とeSBooksの荷物で度々中断。
▼ 午後一で六本木のホテルにてメーカーの発表会。自分の担当分野的にも、個人的嗜好とも異なる方向の発表会だったのだけど、断り切れずに出席。プレゼン中はずっとノートを開いて別の原稿に係り切り。
▼ 終わってからUさんとWさんと吉野家で牛丼。六本木の吉野家はひと味違う。なんだあの入り口は? 一人別れてアキバ取材。ネタはないが、店員といろいろ話し込む。11時まで事務所で作業し、帰宅。
▼ てことでこっちは行き損ねた。ロボットそのものは、前回から大して進歩していない様子。
▼ 来日中のローレンス・レッシグ教授は昼間けっこう暇しているらしい。インタビューできないかなー。会場はやはりディズニーランドで(笑)。それはともかく、企んでみるか。
▼ 朝日新聞 千葉すずさんと競泳の山本選手が結婚
▼ おお、やっぱりそうだったんだ。
■2002-11-08(金) [長年日記]
▼ 日記
午前中は移動時間でつぶれる。午後から科学技術館でエンターテイメントロボットフォーラムを見学。今回も記事にするのはムリめだけど、これも勉強のうち。
前半のセッションが終わったところでタイムオーバー。移動して定例取材。電話連絡が数件。晩飯は丸五でヒレカツ。
▼ 警戒して冬用の格好で外に出たら、意外と暑かった。うーむ、どうせならとっとと寒くなってくれ。
▼ 今頃ですが、bk1ブリーダープログラムの先月分は、これまでにない売り上げを記録した。これは自分の手柄というよりも、岡田斗司夫の同人誌の検索用URLが、そのまま某ニュースサイトに転載されてしまったからなんだけど。ともあれ、お買いあげの皆様に感謝。
そのURLは実はbk1で普通に検索したのとは異なるパラメータになっているのだけど、それが本家のページにも流用されているのに気が付いて笑った。さすがにIDは変えてあるけど。
12月23〜25日に実演。応募が23日に集中しているのはクリスマスやイブを避けたい人達がそこへと集中したからなのだろうか(笑)。まあ単に祝日だからだろうけど。
▼ 単に運転免許の表面を読みとって年齢を確認する酒の自動販売機なら実用化されている。でも、この場合だと年齢どころか住所氏名に顔写真までさらすことになるのだから、普及はしなさそう。第一、全員が持っているワケじゃないし。運転免許証がICカード化されてもそれは一緒。なら年齢確認の部分だけをアプリケーション化するのが一番シンプルな道なのか。
▼ でも、アプリケーション化してほかのカードに相乗りするとして、そのカードは何になるんだろう? 銀行系、クレジット系なんかの接触タイプか、住基カードや行政系の非接触タイプなのか。たばこ税が地方自治体に入ることを考えたら、行政系に相乗りするのが筋かもしれないが、行政系カード自体も統一的に発行されるとは限らないし、常に住民票のある市町村で買うわけでもない。どうするんだろう?
▼ そういえばこのたばこカードは、JTなんかの販売・製造側が主導で行なっているのか。それもまた複雑だな。
▼ コンビニならEdyみたいなプリペイド型電子マネーとくっつけるのが頭に浮かぶけど、消費者側としてはどうなんだろう。タバコように法的に規制されている物を購入する際に、年齢という個人情報を晒すのは仕方がないと思うのかもしれないけど、コンビニでの買い物すべてにヒモが付いてしまう可能性もある。ある電子マネー関係の人は、こういった少額決済ほど匿名性が必要だと言っていたが。
ほかにソースが見つかんない。ソニーに聞いてみるしかないか。
▼ 朝日新聞 腰の低いロボット「ロボビー3」披露 京都
ロボットの季節がやってきた。
▼ そんな、まさか僕がこういう悩ましいモノを買うとは思っていないでしょうね。思っていな……。
CDだけで良いんだけどなぁ。
■2002-11-09(土) [長年日記]
▼ 日記
日中はずっと外で取材。動いていると結構暖かいのだが、これで油断したのがいけなかった。
夜中に事務所で作業をしていると、熱が再発。どんどん寒気がしてくる。早く帰って布団で寝たいが、仕事は終わらず。
▼ 買ったCD
audio sponge『SKETCH SHOW』
NIRVANA『NIRVANA』
NIRVANAをはじめとするオルタナティブ・ロックが全盛期だった学生時代には、実はほとんど聞いていなかった。というか嫌いだった。最近はなぜだか少しはわかるようになってきた。
■2002-11-10(日) [長年日記]
▼ 日記
一日、事務所に引きこもり。自分でもはっきり熱が出ているのがわかる。夕方にちょっと外出して食事。新しいラーメン店を試してみる。うーん、看板の割にフツーであった。
■2002-11-11(月) [長年日記]
▼ 日記
午前5時頃に全更新が終了。そのまま始発で帰宅。風呂に入って寝る。起きてまた寝る。もう一度起きると午前4時。マジかー!
▼ OHP 「物語問題」に関する整理
これは、この間のBSマンガ夜話『最終兵器彼女』の回で岡田斗司夫が言っていたことから出てきた発言なんじゃないのかな。個々人のリアリティが「自分(とその周り)+世界」しかなくなって「中間」が描かれない。東浩紀的に言うと「象徴界の衰退」ということ。
「だからマンガがつまらなくなった」とは言うつもりもないし、そういう認識自体が誤解から来たものだと思うが、かといってマンガ業界に問題がない訳じゃない。というか、面白いマンガを読むためには、積極的にコミットしないとそのマンガにすらたどり着けないというのが今の一番の問題なんだろう。
▼ BizTech 団塊が引退する日、動き出す巨大市場の攻略法
▼ Hotwired 米議会委員会の警告:中国のサイバー版「万里の長城」が
■2002-11-12(火) [長年日記]
▼ 日記
午後から市ヶ谷にて某小売業者にて取材。ここもそうだけど、今やっている仕事がらみで取材したところは、何処もあと数回は取材しても良いくらいだなぁ。
▼ 編集部に戻って日がな一日、キーボードを叩く。たいして進捗はなし。途中で某マガジンのMデスクに相談。正論で返されてしまい、グゥの根も出ず。諦めて午後10時に退勤。
▼ ガンダムSEEDの過去2回分をまとめて観た。えっ、ルナツー? そこまでトレースせんでも…。最後のセリフが「寒い時代だとは思わないか」ではなかった。ホッ。
■2002-11-13(水) [長年日記]
▼ 日記
昼間はショップ取材。明日のための予備取材のつもりだったが、どうも雲行きがあやしい。空振りは勘弁して欲しいなぁ。
▼ 夕方に突如トラブル発生。とりあえず外部への対処だけ済ませて、謎のお仕事のための打ち合わせに向かう。書きます、とは言ったもののやったことのない分野だけにどうなることか。
▼ そのままロボットサロンに初参加。詳しくは書かないが、いろんな意味でオモロかった(笑)。終わってから居酒屋でご挨拶&雑談。短い時間だったけど、こっちの方がよっぽと勉強になる。ごちそうさまでした。
▼ 読んどけ>M原
▼ ついでに化学物質リスク管理センター
■2002-11-22(金) [長年日記]
▼ 日記
復活。何度このフレーズを繰り返しいるやら。とりあえず峠は越したので、いつものペースで日記再開。といっても、本業の方の年末企画には何一つ手を付けていないのだけど。
▼ 今日は一日中、ルーチンワークに忙殺。うーむ、なんにもできない。
▼ ICカードが必要なシーン
ICカードの普及が絶対に必要なシーンは、基本的にセキュリティが必要なところだけだ。暗号にしてもCPUにしても、セキュリティを高めるためのものだから。メリット・デメリットを越えて必要なインフラとして、セキュリティが必要なシーンでは今後絶対に普及していくのは間違いない。物理的にしろ、論理的にしろ、鍵と呼べるものを置き換えていくとは簡単に想像がつく。
そこに「無線」という要素が付け加わって、普及が促されるシーンが増えた。この代表が鉄道。でも、これってユーザーにしてみれば改札に人がいたときと同じに戻っただけ。セキュリティが必要だったは会社の方。仮に接触型だったとしたらここまで普及しなかったのは間違いない。NTTのICカードテレカがまったく普及しないのも、まあ携帯電話の普及のせいの方が大きいにしろ、同じ理由があると思う。
で、無線型ICチップ、つまり「RFID」が普及するシーンには他にどんなことがあるのか考えてみた。これは「人と接するもので中途半端に自動化されたもの」じゃないだろうか。今までの磁気の自動改札は、「自動」とはいいながら、利用者にとっては全然自動じゃなくて、定期なら定期入れから出して、改札に入れて、取って、また定期入れに戻す、って手動の部分がかえって増えている。人がいたときは、ポケットから定期入れを出して見せるだけだったのに。自動改札機は、非接触型になることで初めて利用者にとっても「自動」になった。
逆に言うと、電子マネーが普及しない理由はそこかも知れない。たとえはEdyはリアルで使える電子マネーとして一番普及していると言われている。ソニーのお膝元の大崎、品川地区では大抵のお店で使えるし、am/pmなら日本中でも使えるし。でも、いくらひいき目に見ても世間一般的に普及しているとはとうてい言えない。ハードウェアはSuicaと同じFeliCa。なのにSuicaは普及して、Edyは普及しない。鉄道では普及するのに、買い物では普及しない。どうしてかっていったら、たぶん買い物というものは、ほとんど自動化されていない行為だから。コンビニのレジなんて、利用者からしてみればこの10年まったく進歩していない。代金の計算が自動になってPOSが導入されたっていっても、それで便利になったのはあくまで店側であって客じゃないんだもん。
ちょっと脱線して、自動化されたコンビニとはどんなものだか考えてみよう。昔、自動販売機だけが並べられた店が造られたことがあるけど、サクッとなくなった。便利だとか不便だとか言う以前に、自動販売機だとやっぱり販売できる商品が限られちゃう。だから自動販売機はコンビニという店のコンセプトには合わない。じゃあ、コンビニの店の中身は今のままにしよう。替わりに商品の一個一個にバーコードじゃなくて「RFID」を付ける。お客は店に入ったら自分で袋に欲しいものをガンガン詰めていく。袋は当然自分で用意するのがデフォルトだ。で、詰め終わったら、そのまま出口から出る。ただし、店の出入り口にはゲートがあって、そこで袋に詰め込んだ商品の無線タグを自動に読みとって、代金が表示される。そこで電子マネーのICカードをタッチ・アンド・ゴー。これぞ自動レジの自動コンビニ。でも無人ではなくて、店員も一応いる。商品の補充や、調理が必要な食料品も最近は多いし。それにトラブルがあったとき、直ぐ文句の言える人間がいた方が何かと都合がよい。一部技術的に難しいところもあるけど、あと2〜3年あれば十分実現可能なレベルだと思う。
中途半端に自動化されたものって他に何が考えられるだろう。パソコンなんて良い例だけど、これをICカードで自動化できるようなのは、認証関係と簡単なデータの入出力くらいだ。でも、データをICカードにドラッグアンドドロップして、パッと持っていけるようになったらそれはちょっと便利かもしれない。
パソコンに似ているけどゲームはどうだろうか。テレビゲームも中途半端に自動化されている。でも手動の部分があるからこそゲームになっているわけで、全部自動化されてしまったらそれこそ映画みたいなもの。だけどRPGなんかでゲーム内のアイテムやキャラクターをICカードに格納しておくっていうのは良いかもしれない。もっと言えば、カードゲームみたいにコレクションとゲームの二つの要素があるゲームと、シミュレーションやRPGや格闘ゲームとの融合も考えられる。ゲームなら多少のコストも問題にならないから、この方面は有望だと思う。
考えてみると、ICカードの普及が考えられるシーンは、基本的にICカードのハードウェア的な特性を必要としているところに限られている。ICカードが出てきたことで、まったく新しいソリューションが生まれた訳じゃない。ICカードは今まであったものを置き換えているに過ぎない。今ICカードでできることは、電子マネー、鍵、電子チケット、身分証明、ポイントサービス、などなど。どれもICカードの以前から実現していた。電子マネーって言うから新しいように聞こえるけど、利用者からしてみればクレジットカードとたいしてかわらない。ICカードはこれらの安全性を高めてはいるけど、まったく新しい用途を生み出した訳ではない。
ICカードだからこそ可能になったこととはなんだろうか。あるとしたら、さっき上げたいろいろなサービスが一枚のカードに全部乗っかるということかもしれない。そんなことは前からみんなが言っている。けど、たくさんのカードが1枚にまとめられる、と考えるのじゃなくて、1枚のカードで同時にいろいろなことができる、って考えられないかな。
例えば、さっきの自動コンビニ。たばこやお酒なんかの年齢制限があるものはどうする。そこは店員が対応するというのありだけど、もうちょっとスマートな方法がある。例えば「たばこカード」。基本的にあれは、「私はたばこを吸える年齢です」という一点のみを証明しているだけだ。じゃあ、その機能をアプリケーションとして、電子マネーのカードと一緒にしちゃえばいい。出口の精算ゲートが買おうとした商品の中にたばこを見つけたら、カードの中に「たばこカードアプリ」を探しに行く。それが見つかれば、今度は電子マネーのアプリを読み出して、そのまま精算を完了。なければ、ブーッと鳴ってゲートは開かず、店員が「もしもし、お客さん…」となる。
一枚のICカードの中に入っている複数のアプリケーションが連携してサービスを提供する。これがICカードだからこそできることじゃないだろうか。ごく当たり前のことだけど、これがもっと普及したとき、きっとあとには引き返せないくらい便利で、定着したものになっているかもしれない。
▼ 日経産業アドネット シンポジウム「電子社会の未来」
▼ 『電子認証が日本を変える』(生産性出版)
▼ すっかり遅くなっちゃいましたけど、東京タワーを見ながら取材した人の本がこれです。PKIそのものに関しては丁寧に書いてありますけど、特に良い本というわけではありません。
会場:ジュンク堂書店 池袋店 1F
〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目15-5
日時:12月7日(土)午後3時から
問い合わせ先:Tel.03-5956-6111
■2002-11-23(土) [長年日記]
▼ 日記
いろんなことを考える。なんか今頃になってようやく自分の中で整理が付いてきた。
▼ LAOX Book館でコンピュートピア別冊『電子自治体最前線』を購入。いやー、今ってコンピュータ関係のフロアには「e-Japanコーナー」がちゃんとあるんだ。この本も平済みになっていてちょっと驚いた。
▼ うーむ、やはり俺はプレッシャーに弱い。根っこが引きこもりだからしょうがないんだけど。
▼ 赤くないと噂のフランス語版の「千と千尋(Le Voyage de Chihiro)」は11月26日発売予定。ちなみにフランスのリージョンは2で日本と同じだけど、映像信号はSECAMだから日本のテレビでは写らないので注意。
▼ 朝日新聞この私を「老害」というのか 自民税調・山中氏が激怒
いわれて怒るくらいなんだから、自覚あるんだろ。さっさと辞めろよ、81歳。
▼ internet.comICチップを使ったサービス、8割が普及に前向き
■2002-11-24(日) [長年日記]
▼ 日記
自分の予定からは半日遅れで、いつものスケジュールからは半日早く、仕事が終了。リブロとジュンク堂に寄るが、収穫はなし。「玄武」でラーメンだけ食って帰宅。家に着いてからブックファーストに行くのを忘れていたのに気づく。
中途半端に時間が空いてしまったので、貯まっていたDVDを消化。観たのは『キス・オブ・ザ・ドラゴン』と『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』。これで未見のDVDが10本を切った。日付がかわるとさっさと寝る。
▼ 自動精算システムの可能性
自動精算システムの実現可能性は、現時点では多々技術的問題はあるのは知ってます。まあ、僕自身も自動レジの自動コンビニが店側にも客側にも今のところはそんなに必要性があるとは思えないので、実際にあと2〜3年で採用されるとは思ってませんが。「自動レジ」の話自体が、最後の「1枚のカードで複数の処理を同時実行する」ということの説明のために持ち出しただけなので(笑)。でも、アメリカのような郊外型の大型ショッピングセンターならば実現は案外早いんじゃないかと思います。
▼ Suicaのブレイクスルー
例えば、RFIDのコストの問題だけど、基本的に半導体製品の値段は、時間が経てば経つほど下がるものだ。あと、別にこの場合はRFIDが書き換え可能である必要はなく、単純に一意性のあるIDさえ持っていれば、それでよい。商品種別、価格なんかのデータはサーバ側で管理し日々更新していけばよいし、一個一個の商品のデータを変更していく手間を考えればサーバ側にデータを持つ方が現実的だ。。コンビニやスーパーは、電車の自動改札に比べれば自由度は高いけれど、それでもやはりある程度は限定された環境なのだから、これで十分可能だと思う。
認識の問題も、買い物のさせ方を変えることでどうにかなるのではないかと思う。例えば精算ゲートは空港の手荷物検査のように、物だけを専用のゲートに通して、強力な電波で読みとり精度を上げるというてもある。また、買い物かごの形を変えたり、商品の入れ方を啓蒙することで、認識率を上げるという方法だって考えられる。
実際に運営されているものを見ると、JR東日本のSuicaも、ただ改札のリーダ部にかざすだけでは、カードとリーダの角度が悪かったり、カードが財布の中に入っていたりなど障害物があると瞬時に読みとれないことがある。通常なら0.1秒で読めるところが、ほぼ倍の0.2秒以上になってしまう。この0.1秒の差が改札というものには非常に大きく、JR東日本がラッシュ時の改札での混み具合をシミュレートしたところ、認識時間が0.1秒異なるだけで混雑も大きく異なったという。
これを解消するためにJRが取った方法は、技術的な対策ではなく、Suicaのキャンペーンに置いて「タッチ・アンド・ゴー」というキャッチフレーズを用いることだった。このことによって、ユーザーに対して「Suicaを使うときはリーダにカードを一度接触させるものだ」という認識の定着をはかったのだ。この「タッチ」というワンアクションだけで、Suicaの認識率は劇的に向上したという。つまり、ゲートを用いるだけでは物理的にコントロールしきれない人の動きが、宣伝活動によってある程度は可能になることもあるのだ。実際に、自動レジの導入がはかられたとしたら、セブンイレブンのCMでも似たようなことが行なわれるんじゃないだろうか。
今の時点は実用化に幾つか技術的なハードルがあるとしても、それを技術的の手段以外の手法で回避することができる場合もある。だから、技術的に難しいとしても、企業が導入にメリットがあると判断したならば、案外簡単にサクッと導入されるような気がする。
■2002-11-25(月) [長年日記]
▼ 日記
昨日は渋谷により損ねてしまったので、午前中はブックファーストに直行。レッシグの『コモンズ』(翔泳社)を、トークショウのチケットとともにゲットする。ちなみに番号は25番目。
ちょっとだけ渋谷を歩き回ろうとしたけど、相変わらず渋谷の地理をまったく覚えていないため、気が付くと原宿に着いていた。そのまま会社に直行。幾つか雑用を済ましてから、評価用に届いていたThinkPax X30を皆でいじくり回す。うーん、デザイン的には微妙だなぁ。どことなくオモチャっぽくなってしまった気がする。飽きたら仕事もないので帰宅。
夜中はM原の所で暇つぶし。と思ったら論文提出の直前ということで最終校正をやらされる。普通じゃ気が付かないタイプの誤字がいくつか見つかる。たぶん、そのまま出しても誰も気が付かないだろう(笑)。次回作のキーワードに大笑い。午前4時帰宅。
■2002-11-26(火) [長年日記]
▼ 日記
久しぶりにぽっかりと丸一日空いたので、ひたすらだらける。とにかく、ダラーっと過ごす。
▼ 唐突に思い立って、自宅サーバーにtDiaryをインストール。Windows 2000上のANHTTPDでもきちんと動作した。わーい。これでこのページの更新がちょっとは楽になるかな、と思ったら編集用ページへのアクセス制限が上手くいかない。ANHTTPDだと、あるディレクトリ丸ごとに制限は掛けられても、一つのファイルやCGIにだけロックを掛けることができないみたいだ。うーむ、どうしよう? めんどくさいけどApacheに入れ替えるしかないのかなー。もうちょっと楽な方法を考えてみよう。
小谷野敦って……。
■2002-11-27(水) [長年日記]
▼ 日記
出勤途中、自転車で転ける。交差点を渡っている途中、加速しようと力を入れたはずみに肩に掛けたカバンがずり落ち、右腕だけで戻そうとしたところ、正面から来た歩行者をよけようとブレーキを掛けたはずみにバランスが崩れ、左腕だけでは立て直せずにそのまま崩れ落ちてしまった。
被害は、胸部打撲、右膝擦過傷、ちぎれたジャケットのボタンが目の前で車にひかれて圧死。以上。まあカバンの中のノートPCが無傷だっただけでもよしとしよう。出勤途中にジャケットを買った店の寄って同じボタンの取り寄せを頼む。
今日からレッシグ著(山形浩生 訳)『コモンズ』を読み出す。帯にあるとおり『CODE』の続編と言える内容。
仕事はいつもの取材。ネタはほどよい具合か。まあ、今週も楽そうだ。早めに帰宅。
▼ INTERNET Watch 「最終通告」というサブジェクトのスパムメールが蔓延
手元にも何通か来た。全文が読みたいという人のためにここにテキストを置いておく。
▼ tDiaryで日記
詳細な手順はそのうちまとめるとして、昨日のユーザー認証の件は、公開用のディレクトリから編集に関するスクリプトを削除し、編集用には別のディレクトリにスクリプトをインストールすることで回避した。ちょっとトリッキーだけど、まあ仕方がない。
これでセキュリティ対策は一応何とかなったので、今日から日記をtDiaryで公開することにする。デザインもこれまでのものを引き継いでいるので、トップページだけ見た場合はほとんど見栄えはかわっていないんだけど。
過去のデータはそのまま残しておくけど、バックナンバーとの整合性はどうしようかな? あと、標準ではできないカスタマイズはどうやるんだろう? 画像も上手くレイアウトされないし。うーむ、いろいろと課題は多い。
▼ ローレンス・レッシグ(山形浩生訳)『コモンズ』翔泳社
今日は第1部、第4章まで読み進む。
コモンズとは「共有地」のこと。この本では、人間が利用することのできるあらゆるものを、有形、無形にかかわらず「リソース」と定義し、新たなリソースを生み出すには既存のリソース、すなわちコモンズへのアクセスが必須だと説明する。
第1部では、現在の社会においてもっとも活発なイノベーションの場となったインターネットが、なぜそのような場になり得たのかを、ネットワークの発達史とともに技術的な背景を追う。
ここでは『CODE』でも出てきた、アーキテクチャと規制の話しをより突き詰めた形で展開しており、技術の発達によって同じ物が昔とは異なる状況になるということを、道路に例えて説明している。
道路がバカなのは、スマート道路が不可能だったからだ。いまは状況がちがう。スマートグリッドやスマート道路は技術的に可能だ。コントロールはいまや現実的にも実行可能だ。そこでわれわれが考えるべきなのは、コントロールしたほうがよくなるか、ということだ。(P69)
コントロールが一切ダメなわけでも、すべてを完全にコントロールすべきでもない。そのバランスが大事だということ。これは住基ネットにもICカードにも言えることだ。
■2002-11-28(木) [長年日記]
▼ 日記
某メーカーの広報氏からのTelで起きる。今日編集部に顔を出すというので、とりあえず出社。しかし、待てど暮らせど来ず。業を煮やして事務所に移動してから、某メーカーに出向く。と、今日は行くのを止めたとのこと。そうならそうと行ってくれぃ。そりゃこっちも時間があるかわからんとは言ったけど。
▼ 東アジア共通交通カードは、札幌の人に直接研究会のメンバーを紹介してもらった方が良いかもしれませんね。
▼ うーむ、フランス語はさっぱりとわからんぞ。
- このところの出版不況でウチも厳しくて…
うーん、ありきたりだなぁ - 実は先日退職しまして…
すぐバレるウソは止めておこう - 実はあの名刺は偽物でして…
面白いけど、騒ぎになりそうだ - 実はウチの書籍部門が廃止に…
シャレにならん - めんどくさいなぁ…
刺されそうだな
▼ インターネットはコミュニティなのかメディアなのか。僕の感覚では、インターネットはコミュニティを構築するツールであって、しきいの低いメディアでしかない。つまりサイバースペースなんて物は存在しないのだ。ネット上に散在するのは人、物、事によって生じたあらゆるデータであって、その一部の濃度の濃い揺らぎがコミュニティなり、何らかの空間を構成しているように見えるだけなのだ。つまりコミュニティはあくまでも現実世界に存在し、それを維持するために必要なコミュニケーションが主にネットを通じて行なわれているわけだ。かといって、決してネットワークが空間的な広がりを持たないと言うわけではなく、World Wide Web上に広がるサイト群は立体的な空間を構成しているかのように感じることは多い。
■2002-11-29(金) [長年日記]
▼ 日記
いつも通りのパターンで一日中取材。だんだんと寒さが身に凍みるようになってきた。
▼ あるモノの発表会に関するスケジュールを勘違いして、今日あたりに連絡があるはずと思いこんでしまい、何にも連絡がないことに勝手に憤慨して、どうなってんのか電話しようと思いながら見直したら、それが勘違いだったことに気が付いて、冷や汗。
▼ Hotwired 明暗分かれるモバイル決済――携帯電話は×、専用スキャン型は○
記事に出てくるSpeedPassは非接触型ICチップを使っているが電子マネーではなく、クレジットカードの代用品らしい。申し込むとVISAなりMasterのクレジットカードが発行され、SpeedPassはそれの補助という扱いのようだ。低額決済専用のサインレスカードみたいなものか。
▼ RFID Journal RFID Vendors Target Amusement Parks
RFIDがアミューズメント施設では、迷子対策とチケットとして有効だというお話し。まあ、当たり前のこと。
▼ しかし「日本出版インフラセンター」って謎ですな。初耳だし、検索にも引っかからないし。どーせトーハンの中に事務局とかあるんだろうけど。それにしても、いったいどういうシステムを想定しているんだろう? まさか1冊々々にIDを振るわけにはいかないだろうし、出版点数や部数のことを考えたら、データはあとから(製本後に)書き込む事になるけど、書き換え可能なRFIDを使ってコストに見合うのだろうか。
■2002-11-30(土) [長年日記]
▼ 日記
仕事でテンパリ中。今週は楽なはずだったのが、この時期特有の事情を一つ忘れていた。
▼ 仕事に飽きてtDiaryとANHTTPDの設定をいじくり回す
おっ、ANHTTPDはファイル単位でのユーザー認証はできないけれど、アクセス制御なら可能なんだ。てことで、これまでは公開用と編集用で別のディレクトリにインストールしたtDiaryを一つにして、エイリアスでパスをわける。公開用のパスの場合はindex.rbとdiary.css以外のファイルを全IPからアクセス拒否。編集用パスはユーザー認証でパスワードロックを掛ける。これでずいぶんとスマートになった。
同時に、サーバー内のディレクトリを整理。公開用のファイルがあちこちに散らばっていたのを全部まとめる。一応、今までのパスとの整合性は保ったつもりだけど、どこかに手落ちがあるかも。画像が表示されない等の不具合があったら教えて下さい。Windowsでもシンボリックリンクが使えれば楽なんだけどなぁ。
ついでに、11月前半分の日記をtDiaryに移す。これで、バックナンバーの整理が多少は楽になる。これ以前の分はしょうがないのでこのままの状態で放置だな。
△ yuco [お、初ツッコミかな?私はコモンズまだ2章です〜。]
△ buru [ども。おお、ツッコミが入るというのはこういう感じなんだ。これでオイラもbloger!(笑)。 コモンズの第1部はネッ..]